伝え役・結城貴暁の四角紙面 <1>
文・結城 貴暁(ビスタワークス研究所・伝え役)

 今号より新連載を担当することになりました結城でございます。他称「真面目すぎるオトコ」の私がありのままを書き綴ります。何卒お付き合いくださいませ。


 さて、皆さんは毎年3月末に発表される「新入社員のタイプ」をご存知でしょうか?上司や先輩にとっては簡潔明瞭な「新入社員の取説」として重宝されているとか、いないとか。2019年度は「AIスピーカー型」で、多機能かつ高性能ではあるが、それらを起動させるには周囲からの声掛けが不可欠のようです。この調査は30年の歴史があり、なんと私が社会人になった2000年度は「栄養補助食品型」と判明しました。栄養素(PCスキルや語学力など)を豊富に含むが、直射日光(叱責)に弱く、賞味期限内(試用期間)に効果(やる気)が薄れるとのこと。あれ!?まったく当てはまりません。

 ビスタ高知入社時の私はと言うと、目立った能力や資格はなく、決めたことはやり切るものの、頑固で強情な性格の持ち主。そんな私が入社後に心血を注いだのが掃除でした。


 最初に任されたのは朝一番に整備工場のシャッターを開け、水で薄めた洗剤で床を濡らし、ブラシで擦るという作業。未熟な私が唯一全力を発揮できる仕事でした。ここまでなら初々しい新入社員の姿…。でも、明らかにそれは行き過ぎていました。徐々に開始時間を早め、一人だけで工場内のすべての掃除を完了させることに執着する始末。

 本来、掃除とはその行為を通じて心を整え、仲間との繋がりを育むもの。しかし自己の欲求に心を奪われ、明らかに周りへの配慮が欠けていました。頑張りどころを履き違える、という典型的な新入社員のあるあるネタです。一般的な会社なら指導が入るでしょうが、そこは褒めもしなければ叱りもしないのがビスタ高知流。先輩たちらしいアプローチで解決へと導いてくれました。

 私が5分出社を早めれば、翌日、その時間に先輩達も出社する。という具合に、最終的(約2ヶ月後)に掃除の着手が1時間も前倒しになりましたが、常に一人ぼっちではなく、先輩たちが傍にいてくれました。ここまでくれば私の完全な根負けです。この出来事を通じて芽生えたのは、「見守ってくれている」という温かな感情。まさに「結果で認められようとする私」ではなく、「ありのままの私」を受け入れてもらった自分史に刻まれる体験になりました。

 後日談ですが、夜な夜な先輩たちは真剣に対応策を検討してくれ、「指摘すればムキになり、放っておけば孤立する」という議論の末、最後まで付き合おうと決め、関わってくれたとのこと。


 という訳で、私は相当扱いづらく癖の強い新入社員でした。もっとぶっ飛んだエピソードも沢山ございますが(笑)。月日は流れて、今、私はネッツ南国の新入社員の導入研修に深く携わっています。

 全社員採用で出逢った令和の時代を担う大切な人財。しかし花開く前の蕾のようなもの。持ち前の人柄や資質だけでは立派な社会人にはなり得ません。エネルギーが溢れ吸収力がある内に、「まずはやってみよう!」と一歩を踏み出せたり、周りの人々と切磋琢磨する体験を積み重ねることが肝要です。

 そして何より担当者である私が、新しい世代を画一的なタイプに当てはめるのではなく、常に試行錯誤し、一人ひとりに本氣で関わり切る姿勢が求められます。


 あらあら、最後の締めもやっぱり硬くなりました。いかに生まれ持った性分をいい形で発揮するのか、修行は続きます。ちなみに、今でも朝一番に出社し、事務所を徹底的に掃除しております(笑)。