第六回:土佐流異種交流道場
人が輝く日本流経営〜経営品質の視点から〜[文:大原 光秦]
メダル数過去最多(24競技中13競技でメダル獲得)となったロンドンオリンピックでの成果は、味の素ナショナルトレーニングセンターの存在に依るところが大きいと言われている。陸上や競泳、体操はもちろん、レスリング、卓球、バドミントン、アーチェリーなど、様々な競技種目の代表選手達が交流し、鍛錬できる場。競技は違えども、同じ目的と目標を持つ人間が一堂に集い、情報交換し、刺激し合う道場である。他国のそれと較べると小規模らしいが、その分選手同士の交流密度が高く、チームジャパンの流れを創る一因となったようだ。
実は、ビスタワークス研究所が運営を担っている高知県経営品質協議会も同じところを狙っている。成り立ちは2001年の高知県経営品質研究会から始まる。その頃はまったく接点がなかったが、2002年にトヨタビスタ高知(現ネッツトヨタ南国)が日本経営品質賞を受賞。2003年に研究会から事例紹介の出講を求められ、関わることとなった。翌2004年、県内の中小零細企業の実態に即した、より実践的で臨場感のある学習会を独自開発すべしと提案し、高知県経営品質協議会へと組織変更。この時から学習会の開発、講師の役回りを買って出るようになり、現在に至っている。
平成24年度の会員数は約60社。学習会は延べ31回(年間)、継続学習会(人が輝く職場づくり定例会・実践!買い手よし研究塾・新規職員人財化研修・示道力涵養研修、本氣の社長塾)に登録している受講生は150名前後で推移している。数字で計る限り、地方協議会としてまずまず健闘している方ではないかと考えるところだが、いまだ地方賞を設けるには至っていない。高知の人間は、男は「いごっそう」、女は「はちきん」と言われ、そうしたお墨付きにはまるで関心を示さない。直感頼みに我が道をひた走る県民性。新しい物好きだが飽きるのもめっぽう早く、反骨精神は強いが勉強嫌い。全国で開催されている標準的な学習会を繰り返すようなことをするとたちまち陳腐化し、早々に衰退することが予測された。なんとか土佐流を編み出して経営品質の思考と実践を浸透させたいと思案したものだ。その中で生まれてきたのが上述の学習会である。受講者の共感、共鳴を引き出すために、人間として、日本人としての生き方、働き方に問いを立て、対話を繰り返す学び場を創ってきた。帰結として修身に通じる内容となるが、業界や職種を超えた領域で想いや考えを交換し合うため、交流深度が深くなる。最近になって、なんとなく「チーム土佐」の流れを実感できるようになってきた。
とはいえ協議会設立から9年。いまだに経営品質向上プログラムの普及を図るという協議会本来の使命が果たせているとは言い難く、関係各位には頭が上がらないところである。
最後に。ビスタワークス研究所では、高知県経営品質協議会での講師活動をはじめとする県内向けの学習会や講演は実費のみで申し受けている。最重要視している学校教育関係はすべて無償。経営を維持するための経済収入はすべて県外学習会にて調達している。土佐流の伝授でよろしければいつでも貴所へ出稼ぎに伺うので、一声頂戴できれば幸甚である。