令和の武者修行

令和の武者修行について

令和の武者修行とは

かつてない少子高齢化、
第四次産業革命に端を発する社会変化の勢いは留まるところを知りません。
この予測不可能な社会を生き抜くためには、
他者と協力しながら理想を描き、未来を切り開く「人間力」を高める他ありません。

「令和の武者修行」は全国から集まった中学生を新社会人がサポートしながら
88㎞という道のりを歩き、語らい、寝食をともにすることで
挑戦する勇気や助け合い、関わり合い、やり遂げる大切さを体験します。
現代社会では激減してしまった体験から学びを得る旅です。

令和の武者修行・マップ

令和の武者修行・第二篇 レビュー

以下のレポートはかわら版17号に掲載したものです。平成29年の開催した第二篇、その模様はこちら。

 3,000㎞にもおよぶ日本列島、いまや半日もあれば何処へでも行けます。そんな時代に、あえて高知の山奥で100㎞の道のりを4日間かけて歩む。夏の陽射しを浴び、四万十川のせせらぎを聞き、風を感じ、自分の力で歩む。そして仲間と力を合わせ、思い出という宝物を得る。そんな贅沢な旅が「平成の武者修行」。
 旅の主役は全国から集まった小学生と中学生の若侍たち。それをサポートするのは、ネッツ南国の新人&ビスタワークスと有志の社会人サポーター。はるか親元を離れ、初対面の大人たちに囲まれる若侍たち。不安と緊張が隠せません。それを察してか、兄貴、姉貴ぶりを発揮する新人たちでした。
 元気よく歩き始めたものの、ほどなく南国の陽射しにげんなり・・・100㎞の距離感もつかめません。「ひと区間だけ乗っていいですか?」と伴走車に乗り込む姿もちらほら。辿りついた宿泊施設は大部屋のザコ寝。プライベートなんて皆無。ネッツ南国の新人たちにも未体験のことだったのではないでしょうか。プレッシャーとストレスで心が折れるのが先か、皆が打ち解けるのが先か・・・ここからが本当の勝負です。
 しかし、2日目から変化が見られはじめました。昨日は伴走車に乗り込んだ若侍も、誰一人欠けることなく40㎞を踏破しました。共通の試練を乗り越える仲間意識、互いを気遣う心の芽生えが随所に見られはじめたのです!こうなってしまえば後はどんな試練も大丈夫。最終日のゴール10㎞程手前では豪雨に見舞われましたが、それでも士気は下がらない。最後の上り坂を全員が横一列にならび、手をつないでゴールに向かってくるシーンにはシビれました!互いに遠慮してギコチなかった初日。幾多の困難を乗り越え、寝食を共にするなかで関係が強まり、ただの「集団」が「チーム」に変貌しました。私にとっても大きな学びです。最後の夜にはこんな声を聞くことができました。

「オレ、今回の旅のこと、一生忘れないと思います」
「このメンバーと別れたくない、このメンバーとなら1,000㎞歩いてもかまわない」
「はじめは乗り気じゃなかったけど、今は帰りたくないです」
「今回の旅のこと、親や友だちに自慢します」

 主役である小・中学生は、「まずやってみる、あきらめないでやり続ければ、きっと結果がでる」ということ、そして「一人では難しくても誰かと力を合わせればできる」ことを学んだようです。また、ネッツ南国の新人たちは、チームづくりや、大切な人を守ることの難しさとやり遂げる喜びを知りました。社会人サポートチームは、主役たちの記憶に残る冒険を影で支えてくれました。
 未来を担う若者に何を「体験させ、伝え、遺すのか・・・」あらためて考えた旅でした。

平成の武者修行・志國遍路道~修行の道場~レポート

以下のレポートはビスタワークス研究所で当時研修中のメンバーが「かわら版」紙面にて掲載したものです。武者修行を終えてその臨場感が冷めぬうちに文字に書き起こしました。

 『平成の武者修行』は日本各地から集まった中学生8人とネッツ南国の新入社員7人が寝食を共にしながら4日かけて四国霊場88ヶ所のうち7ヶ寺、110㎞を歩く旅です。
 武者修行初日。初めての高知一人旅で不安を隠せない中学生たち。まずは心の距離を縮めようとテンション全開でお出迎えしたのですが・・・簡単には心を許してくれません(笑)。近くのお寺でお遍路グッズを買い物しながら緊張をほぐします。全国的に集中豪雨に見舞われた今夏、折悪しく台風接近の予報があり、社会人たちにも緊張感が漂っていました。救護車は2台、新人たち以外に社会人サポートスタッフ5名、先達さん1名という万全の体制で臨みました。とはいえ大人の手出し口出しは厳禁です。自分たちだけで歩き切るという体験をしてもらわなくてはいけません。スタッフとしては少々もどかしいものがありました。毎晩おこなう新人たちとのミーティングでは、「〇〇くんは足を痛がっていた」「□□さんの『大丈夫』と言う言葉に注意。本当に平気なときとカラ元気のときがある」「△△くんはこんな話をすると口数が増える」など中学生の情報を共有し、地図と天気予報と睨めっこしながら作戦会議。そんな間も私たちサポートスタッフは極力口出ししません。みんな疲労で気力が減退しているはずなのに、仲間たちに笑顔を振りまき、気遣いを見せ、最高のパフォーマンスを発揮している新人たちの姿に、逞しさと尊敬の念を抱きました。
 そうそう、修行中はネッツ南国の先輩社員たちはもちろん、たくさんの方々が応援に駆けつけてくれました。今回、お接待を申し出てくださったJAとさかみさんの心のこもった手作り弁当にお腹も胸もいっぱい。その日は目的地まで一緒に歩いて下さり、励みになりました。また、子連れでアイスを持って来てくれるネッツ南国社員に癒やされ、通りすがりの地元の方に声援をいただき・・・そんな温かい激励を受ける度に苦しい表情に笑顔が蘇り、足どりも軽やかになります。
 そして迎えた最終日。最後の力を振り絞り、この旅の終わりを噛みしめるようにしっかりと歩きます。やがてゴールの岩本寺に全員で到着!身体は皆ボロボロ。しかし、最幸の笑顔で称えあうその姿は少し大人びて見えました。帰りのバスの中、車では一瞬で過ぎるこの道のりに語り尽くせない物語があったと余韻に浸る間もなく全員仲良く爆睡(笑)。本当にお疲れ様でした。最後の夜、110㎞を完歩し修行を通しての成果報告会。仲間がいたから完歩できたこと。お接待やサポートしてくれた方への感謝の言葉。お互いの尊敬したところなど、感極まり涙ぐむ場面もあったり、噴き出し笑いあう場面もあったり。それぞれの様子からこの修行がかけがえのない体験になったことが伝わります。そして最後の別れ。空港では連絡先を交換し合ったり、待合室のガラス越しに電話でやり取りしたりと苦楽を共にした同志との別れを惜しみます。
 ワタクシ個人的には、高知県のお接待文化に触れ、人と人との大切な結びつきを感じました。お遍路グッズを揃えたお寺では、店主さんがお遍路について丁寧に教えて下さり、初対面とは思えない温もりでもてなしてくれました。お接待とは現代の日本人が失いつつある習わしであり、後世に残すべき大和心だと確信します。中学生たちも今回の旅で、人と人とが繋がることでパワーを発揮できることや、諦めずにやりきることの大切さを学んだことでしょう。もちろん今回の体験は、新入社員にとっても最幸の宝物になったはずです。「来年も来ます!」と言ってくれた中学生のためにも、2019年も実りある最幸の修行にしようと心に決めました。今年は高知に来て「よさこい祭り」に「平成の武者修行」と、初めて尽くしの熱い夏になりました。